物忘れ相談について

年を重ねるにつれ、「以前と比べて忘れっぽくなった」、「記憶力がおぼつかなくなった」と感じることは多くの方に見られます。こうした状態は致し方ないのだと思われているようですが、物忘れには、通常の老化現象の場合(良性健忘)、健常者と認知症の中間(軽度認知障害MCI)、アルツハイマー病を中心とする認知症の初期段階である場合があります。

物忘れのタイプ

通常の老化現象である良性健忘の場合は、特に心配はいりません。しかし、認知症の場合は、時間や場所・人などを認識する能力、状況を把握して行動する思考・判断力(実行機能)が障害され、徐々に悪化してゆくため早めの対策が大切となります。
現段階では日常生活に支障を来たしていなくても、軽度認知障害がみられるときは、放置せず医療機関で検査を受けることにより、認知症の早期診断・治療により進行を遅らせることができます。
また、血液検査、CT/MRI検査等により、甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血種など二次性の認知症を鑑別し治療できる場合があります。

当院では、物忘れ相談を行っておりますので、物忘れのタイプや原因を見極めるためにも、お早目の受診をお勧めいたします。また、ご家族の方のご相談にも応じておりますので、お気軽にご連絡ください。
複数の認知機能検査によりスクリーニングを実施し、認知症の疑いがある場合には患者さん、ご家族の方のご意向を伺い専門医をご紹介します。

物忘れの具体例

加齢などに伴う「物忘れ(良性健忘)」

  • 出来事などの一部を忘れる
  • 物忘れに気づき、思い出そうとする
  • 新しいことを覚えることが出来る
  • 幻想や妄想は起こらない
  • 人格に変化はない
  • 日常生活にはあまり支障がない

認知症が疑われる「物忘れ」

  • 出来事などの全てを忘れる
  • 物忘れに気づかない
  • 新しいことを覚えられない
  • 幻想や妄想が起きることがある
  • 人格が変化する(暴言や暴力をふるう、怒りっぽくなる、何ごとにも無関心になる)
  • 日常生活に支障が出てくる