クリニックブログ

循環器内科

動脈硬化予防の食事

2021年12月13日

動脈硬化を予防し、しなやかな血管を維持するためには、食生活・生活習慣の見直しが不可欠です。動脈硬化学会より勧めらています「ザ・ジャパン・ダイエット」は、伝統的な和食の良いところを取り入れ、減塩にも工夫した食事ですが、最近のNHK「今日の健康」に取り上げられおります。  

動脈硬化の予防に役立つ「ザ・ジャパン・ダイエット」 ポイント・基本の献立例 | NHK健康チャンネル

積極的にとる食品

魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含む野菜、海藻、きのこ、こんにゃく

特にさば、いわし、さんまなど青背の魚に多いn-3系多価不飽和脂肪酸、大豆製品に多いn-6系多価不飽和脂肪酸は脂質異常症を改善します。水溶性食物繊維が豊富な大豆製品、野菜、海藻、きのこ、こんにゃくは、コレステロールの吸収を抑えます。

控える食品

脂身の多い肉や動物脂、鶏の卵、砂糖や果糖を含む清涼飲料や菓子、アルコール飲料

動物性脂肪に多い飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増やします。砂糖、果糖、アルコール飲料は、カロリー過多より肥満につながり、中性脂肪が増える原因となります。

主食のごはん、パンには、 水溶性食物繊維を含む未精製の穀類、雑穀、麦を増やします。

果物は水溶性食物繊維やビタミンCが豊富ですので、果糖の少ないかんきつ類やキウイなどがおすすめです。乳製品はカルシウム、ビタミンDが豊富ですが、動物脂を含むので適当な量をとり、生クリームは避けるほうが良いです。

だしや薬味を使うなど味付けを工夫して、減塩・うす味にすることで、高血圧を予防します。特に、高血圧の家族歴がある場合注意が必要です。

在宅勤務、低用量ピルと深部静脈血栓症

2021年11月25日

深部静脈血栓症の危険因子には、長期臥床・長時間座位のような血流の停滞、喫煙のような血管内皮障害、低用量ピル・エストロゲン製剤内服時のような血液凝固亢進があります。一般的には稀な病気ですが、危険因子が重複している場合には注意が必要です。

深部静脈血栓は、骨盤・下肢の静脈におきることが多いですが、起立・歩行・排便などの際に血栓が剥離して肺動脈血栓症をおこすことが稀にあります。

航空機による長時間の移動、災害の際の車中泊の際に発症した例がメディアでも取り上げられ啓発されましたが、5時間以上のテレビもリスクになりうるといわれています。最近では、在宅勤務の際の長時間座位も注意が必要に思われます。

社会の変化に伴い、妊娠機会の減少から女性の生理回数は増加し、月経困難症を和らげるため低用量ピルを内服する機会もあるようです。

下肢深部静脈血栓症の症状は、ふくらはぎの痛み、こむら返り、重苦感などで、浮腫、発赤、下肢圧迫による痛みなどを伴うことがあります。

予防には、在宅勤務中には時々室内を歩いたり、座位でふくらはぎを収縮させるような運動をしたりして、下肢の静脈うっ滞を避けることにあります。むくみがある場合には弾性ストッキングの利用も良いかもしれません。

発症した際には、早期診断・治療により肺動脈血栓症の予防、再発予防が肝要です。

高血圧と家庭血圧

2021年03月11日

かつて国内では脳出血の罹病率が高く、半身麻痺など後遺症や早期死亡に苦しむ患者さんやご家族が多くおられました。保健教育による塩分摂取の制限や健診による高血圧の診断・その後の治療といった予防医療が貢献し、罹病率・予後は大きく改善しました。

脳梗塞、心筋梗塞、心不全など脳心血管病予防のためには、血圧管理は現在も重要で、その管理には家庭血圧を中心にしています。これは、家庭血圧が正常域にもかかわらず診察室血圧が高い「白衣高血圧」や、家庭血圧が高血圧にもかかわらず診察室血圧は正常域の「仮面高血圧」の場合があるからです。

高血圧合併症がなければ「白衣高血圧」は経過観察で良いですが、「仮面高血圧」では脳心血管病のリスクが高く、治療が必要です。

高血圧基準は、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上としています。

家庭血圧の測定要領を次回ご説明します。