クリニックブログ

家庭血圧の測り方

2021年03月15日

降圧治療の管理目標値は、一般に75歳以下では家庭血圧125/75未満、75歳以上では135/85未満とし、たちくらみや高齢者で脳梗塞などの原因となる過降圧に注意します。

血圧計は、上腕で測定する装置が推奨されます。手首で測定する装置は日々の比較評価はできますが、絶対値が不正確な場合があります。

血圧測定は、朝起床時、排尿後、朝食・服薬前、座位で1-2分安静後に2回測定しその平均を記録します。起床時には交感神経が緊張をはじめますが、過緊張のため血圧が上昇する場合がありモーニングサージと呼ばれます。早朝に脳卒中、心筋梗塞などの心血管イベント発症が多いことにも関連しています。

最近でも早朝勤務前に喫煙習慣のある方々がおられますが、喫煙により末梢血管収縮・血圧上昇、血管内皮障害をおこし心血管イベントのリスクが更にあがります。

また、起床時の血圧測定に加え、就寝前座位1-2分安静後測定します。

なお、一般に血圧は精神状態、運動、睡眠不足などで変動しうるものですので、一回の測定値に一喜一憂する必要はありません。血圧の評価は5日以上の平均値を中心に評価します。

急に血圧が上昇した場合には、安静にすることで改善することが多く、慌てず気持ちを落ち着かせることが肝要です。なお、血圧上昇とともに激しい頭痛や視野異常、呼吸困難などがある場合には高血圧緊急症として原因精査・治療が必要です。

高血圧と家庭血圧

2021年03月11日

かつて国内では脳出血の罹病率が高く、半身麻痺など後遺症や早期死亡に苦しむ患者さんやご家族が多くおられました。保健教育による塩分摂取の制限や健診による高血圧の診断・その後の治療といった予防医療が貢献し、罹病率・予後は大きく改善しました。

脳梗塞、心筋梗塞、心不全など脳心血管病予防のためには、血圧管理は現在も重要で、その管理には家庭血圧を中心にしています。これは、家庭血圧が正常域にもかかわらず診察室血圧が高い「白衣高血圧」や、家庭血圧が高血圧にもかかわらず診察室血圧は正常域の「仮面高血圧」の場合があるからです。

高血圧合併症がなければ「白衣高血圧」は経過観察で良いですが、「仮面高血圧」では脳心血管病のリスクが高く、治療が必要です。

高血圧基準は、診察室血圧140/90mmHg以上、家庭血圧135/85mmHg以上としています。

家庭血圧の測定要領を次回ご説明します。