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老化と健康寿命

2025年05月18日

老化/加齢と高血圧症、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病には関連性があり、生活習慣病の有無は健康寿命の長短に影響すると考えられています。

老化は避けられないものですが健康寿命には個人差があり、個々の老化スピードは生活習慣改善により抑制できる可能性があります。同じ歴年齢であっても、若さを保っている方がいる一方で、年齢以上に老化している方がいるように、暦年齢と生物学的年齢にはギャップがみられます。

生物学的年齢を知るにはいくつかの方法が提唱されていますが、DNAメチル化(エピゲノム)情報に基づく生物学的年齢予測モデル(エピジェネティック・クロック)が、その信頼性の高さから国内外で老化研究に利用されています。The use of DNA methylation clock in aging research – PMC

エピジェネティック・クロックは2013年以降盛んに老化研究に利用されていますが(第一世代クロック)、その後健康リスクや生理的状態の違いに関連する遺伝子CpGサイトのメチル化パターンから生物学的年齢が推定できるようになり(第二世代クロック)、より高い精度で加齢性疾患のリスクなども踏まえた生物学的年齢を推定できるようになりました。さらに現在では、ダニーデン研究により得られたデータ利用することにより、生物学的年齢のみならず老化スピードも推定する第三世代クロックが利用されています。DunedinPACE, a DNA methylation biomarker of the pace of aging – PubMed

エピクロック®テストは、第二世代クロックのPhenoAgeをベースに日本人エピゲノムデータを学習させ日本人に最適化したクロックで、老化スピードも評価可能です。Tomo: Transfer elastic Net for developing epigenetic… – Google Scholar

エピクロック®テストでは、得られたエピジェネティックス情報から生物学的年齢、老化スピードのみならず、老化に関連する運動機能、呼吸肺活量、テロメア長や血中シスタチンCレベル、血中レプチンレベル、血中PAI-1レベルといった加齢性疾患バイオマーカーや、喫煙暴露レベル、アルコール暴露レベル、フレイル・ロコモリスクといった生活習慣に関連する健康指標を評価することができます。Methylation risk scores are associated with a collection of phenotypes within electronic health record systems – PubMed DNA methylation age – environmental influences, health impacts, and its role in environmental epidemiology – PMC

健康寿命を延伸するためには、現在の生物学的年齢と老化スピード、それらに関連する健康指標の現状を知ることによって、今後どのような生活習慣をとることが望ましいかアクションプランを考え、実行することが肝要です。定期的なエピクロック®テストから得られる情報は、健康寿命延伸のためのPDCAサイクルを回す一助になると思われます。

エピクロック®テスト 生物学的年齢検査 一般向け_生物学的年齢検査_エピクロックテストのご説明.pdf – Google ドライブ 老化時計は巻き戻せる 人生100年、終活より「老活」 – 日本経済新聞