シニア世代の健康寿命
2025年05月08日
健康寿命は、「健康上の問題で日常生活に制限を受けることなく生活できる期間」を指します。昨年厚労省発表の令和4年値は男性72.57年、女性75.45年でした。人生100年と言われている昨今、健康寿命とのギャップを短くしたいところです。
最近の関連論文ではNIPPON DATA90を利用して、65歳時における健康寿命は非感染性疾患/生活習慣病の有無で約10年間の開きがあることを報告しております。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39805597/
高血圧、肥満、喫煙、糖尿病の65歳男性では健康寿命は12.9年/77.9歳であり、それら生活習慣病のない65歳男性では22.6年/87.6歳で9.7年間の開きがあります。
同様に、65歳女性では、それぞれ16.2年/81.2歳、26.3年/91.3歳で10.1年間の開きがあります。
食事、運動、睡眠、ストレス管理、禁煙など生活習慣を改善し、年に1度健診を受けながら高血圧、肥満、糖尿病の早期発見・治療をすることで健康寿命の延伸が期待できるかと思います。https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/
早朝高血圧徹底制圧宣言2025 日本高血圧学会
2025年04月24日
高血圧は、循環器疾患、認知症、慢性腎臓病などのリスク因子ですが、特に朝の家庭血圧は循環器疾患の発症リスクと強い関連があります。また、早朝血圧の管理が健康リスク低減に重要であるとされています。
高血圧のコントロールは未だ十分ではなく、高血圧患者4300万人のうち、良好にコントロールされている人の割合は27%に過ぎません。さらに、高血圧治療中の患者の70%で、朝の家庭血圧が130/80以上である報告もあります。
朝の家庭血圧を指標にして、減塩、ウォーキング、適正体重、睡眠、ストレスマネジメントといった生活習慣の実行が肝要です。Topics & 新着情報|日本高血圧学会 816_1.pdf
高齢者向けRSウイルスワクチン
2025年04月23日
RSウイルスは風邪症状を引き起こすウイルスの一つです。多くの場合1-2週間で自然治癒しますが時に重症化することがあります。特に高齢者では感染・発症すると重症化、入院のリスクがありますが、ワクチン接種が感染予防に有用です。
ワクチンは現在3種類あり、国内ではそのうち2種類が承認されています。US CDCは75歳以上の高齢者、60歳から74歳で重症化リスクのある方に接種を推奨しています。
重症化リスクとして心不全、陳旧性心筋梗塞といった慢性心血管疾患、COPD、間質性肺炎といった慢性呼吸器疾患、末期腎不全/透析治療中、CKD合併糖尿病/インスリン治療中糖尿病、肝硬変といった慢性肝疾患、BMI:40以上の肥満、特養老人ホーム居住者などがあげられています。RSV (Respiratory Syncytial Virus) Immunizations | CDC
2種類のワクチンのうちアレックスビーは、RSウイルスサブタイプA由来のリコンビナント抗原とアジュバントで構成されたワクチンです。アブリスボはサブタイプA及びB由来のリコンビナント抗原で構成されたワクチンで、アジュバントを含有しません。他のワクチンとの同時接種可です。
CDCは現時点で毎年接種を推奨しておりません。承認時、持続性に関してデータは得られておらず、追加接種の必要性について将来検討されるとのことです。また、3種類のワクチンで優先度をつけておりません。
血圧に関するお知らせ 日本高血圧学会
2024年07月08日
健診での血圧について様々な情報があり混乱していることから、日本高血圧学会より改めてお知らせが出ておりますので要点をまとめ、一部追記しました。Topics & 新着情報|日本高血圧学会 (jpnsh.jp)
高血圧症の診断基準は「上の血圧が140以上、下の血圧が90以上」です。
これは我が国のデータで脳卒中をすでに起こしやすくなるからです。この基準は世界的にも合意されています。なお、家庭血圧での診断基準は135/85以上です。
「上の血圧が160以上、下の血圧が100以上」の場合には、すぐに医療機関を受診するようにお薦めします。
脳卒中を起こしやすいからです。なお、胸痛、麻痺が起きているといった緊急の場合を除き、医療機関の外来診療時間内に受診ください。
脳卒中の既往がある、心臓・腎臓の病気、糖尿病がある方は、140/90以上でもすぐに医療機関を受診してください。
「上の血圧が140-159、下の血圧が90-99の場合」には、1か月程度生活習慣を見直して血圧が下がらなければ医療機関を受診することをお薦めします。
なお、それぞれの患者さんにあった生活習慣の見直しを見つけるため、早めに医療機関受診をご検討ください。
家庭血圧を測定の上、生活習慣改善として、体重を減らす、適度な運動、アルコールを減らす、塩分を減らす、野菜と果物をとるよう、取り組んでください。
食塩と高血圧
2024年04月05日
高血圧治療の際には生活習慣の改善が必須ですが、そのなかで減塩も重要で大きな効果も期待できます。食塩は、生きていくために必須のミネラルですが、摂りすぎると体液・血液量が増加し血圧が上昇します。日本人の1日の平均食塩摂取量は10グラムで、高血圧の際の減塩目標は6グラム以下です。
とはいえ食塩量は目に見えませんので注意しづらい点ではと思います。そのため尿中のナトリウム、クレアチニン値を測定することで、1日の概算食塩摂取量を計算することができます。まず現状を認識し、食習慣を思い出して、どのように減塩するか考えていただきたいと思います。
具体的には、料理の際の調味料として加える食塩を減らし、うす味に慣れるとともにスパイス、出汁などで味を調えます。塩コショウや塩を含む調味料よりは、塩とスパイス・調味料が別のものを使い、塩の量を減らします。
同時に、塩味の濃い外食や、総菜品を減らします。また、インスタント麺、漬物、塩ざけなど食塩を多く含む加工品を減らします。ハム、練り物、パンなども塩分量が比較的多いので注意が必要です。
過去には長期保存するために食塩を多く含む食品がありました。みそ、しょうゆなどの調味料も塩を多く含みますし、食塩そのものを味を良くするための調味料として多く使用しがちです。加工食品には食塩の含有量が表示されていますので、興味を持ってご覧いただきたいと思います。