クリニックブログ

新型コロナウイルスIgG抗体検査

2020年06月03日

一般にウイルスに感染するとまずIgM抗体が免疫細胞で産生され、その後約二週間でIgG抗体が産生されます。従ってIgG抗体を血中に保有する場合、過去にそのウイルスに感染したと考えられます。通常IgG抗体を保有すると、そのウイルスに免疫ができたと考えられ、再感染を防ぎ、感染しても重症化が回避されます。季節性インフルエンザなどのワクチンはこの免疫作用を利用しています。

新型コロナウイルスの抗体検査は種々ありますが、それらの精度・臨床的有用性について検討中です。

永福町 内科 すずかわ循環器内科では、CLIA法のIgG抗体検査を外注検査(健診・自費診療)にて実施しています。既感染の有無の確認をすることによって、それぞれの方の感染防止対策の検証の参考になります。

抗体陽性の場合には無症候な場合も含め既感染と考えられますが、検出された抗体の生理機能(中和抗体か?)、抗体の保有期間など臨床的意義については未確立です。

循環器系の症状(3) 息切れ

2020年05月28日

息切れは、呼吸が苦しく、激しい運動をした際のように呼吸が「ぜーぜー、はーはー」と激しく、速くなった状態を指します。身体が必要とする酸素の供給に、心肺機能が追い付かない時の症状の一つです。成人の呼吸数は12-18回/分程度ですが、24回/分以上になり頻呼吸のため会話ができない場合もあります。階段の昇降や、掃除・洗濯など日常生活レベルの身体活動で、息切れが感じる際には、循環器、呼吸器系の病気のことがあります。

突然おきた息切れには注意が必要で、30分以上続く胸部絞扼感(胸を締め付けられたような胸痛)や、胸部圧迫感(重い重石を乗せられたような胸痛)を伴う場合には心筋梗塞、突然の胸の痛みと共に息切れが起きる場合には肺塞栓症(経口避妊薬服用中や災害時の車中避難の時、エコノミー症候群など)や気胸などの鑑別が必要です。

高血圧症、腎不全、心臓弁膜症や心筋症のような心疾患があって、体重増加、足のむくみなどを伴って息切れがある場合には、心不全の場合があります。原因疾患の鑑別、治療と共に、利尿剤などで心不全の治療をする必要があります。心不全では症状増悪した急性心不全を起こさないよう予防治療することが肝要です。

発作的に咳や喘鳴を伴って息苦しい場合には、気管支喘息の場合があります。喘息では、気管支の炎症、攣縮のため息が吐きづらくなります。逆に空気が薄く感じ、息が吸い込みにくく、強い不安感を伴う場合には、パニック症候群や過換気症候群の場合があります。こういった場合には、ゆっくりとした呼吸で息をしっかりはくことで症状改善する場合があります。

長い喫煙歴があり、慢性的に咳がでる、体重減少を伴う場合にはCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の場合があります。この場合、まず禁煙が必須です。

息切れには様々な疾患が原因にあり、心身不調のサインです。原因の鑑別と治療が必要です。

新型コロナウイルス感染症と肺炎球菌感染症

2020年05月26日

ご存じのように、東京都におきましても緊急事態宣言が解除されました。ウイルスが消滅したわけではありませんので、引き続き感染予防対策が求められています。第二波の可能性、準備も指摘されています。

さて、中国からの症例報告*をみますと、257例のCOVID-19感染患者で混合感染の有無を調べたところ 242例(94.2%)で細菌を中心に混合感染が確認され、そのなかで肺炎球菌が最も高頻度でした。

季節性インフルエンザでも同様の傾向がみられ、比較的最近のメタ解析論文では、高齢者において肺炎球菌ワクチンは、インフルエンザワクチンに併用した場合、肺炎、死亡抑制についてそれぞれ15%、19%の相加効果が報告されています。

新型コロナウイルスワクチンは開発中ですが、現状実施できることの一つとして、5年ごとの接種対象の方はこの時期に肺炎球菌ワクチン接種をおすすめします。

*Co-infection with respiratory pathogens among COVID-2019 cases Xiaojuan Zhua,1, Yiyue Gea,1, Tao Wua, Kangchen Zhaoa, Yin Chena, Bin Wua, Fengcai Zhua, Baoli Zhua,b,*, Lunbiao Cuia, Virus Research Volume 285, August 2020

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7213959/

杉並区 高齢者肺炎球菌予防接種

https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/yobouseshu/1004809.html

ご希望がありましたら、電話あるいはウエブ予約よりお申込みください。

https://suzukawa-clinic.jp/vaccination.html

循環器系の症状(2) 動悸

2020年05月21日

動悸は心臓がドキドキ拍動するのを感じる症状で、動悸とともに心臓の存在を感じる場合心悸亢進を呼びます。ひとは緊張したり運動したりするとアドレナリンなどのカテコラミンが副腎などより分泌され、心拍が早く心収縮が高まりドキドキ感じます。

動悸は安静時あるいは軽い労作にもかかわらず、拍動をドキドキ感じる場合を指します。時には心臓が胸腔で飛び跳ねるるようにも感じられ、不安になります。

動悸の原因には、大きく心臓に原因がある場合と、心臓以外に原因がある場合があります。動悸がする際に手首で脈をとってみて、頻脈(脈拍が100/min以上)や、脈の不正がある場合には、頻脈性不整脈や心房細動のことがあります。頻脈性不整脈は、症状の程度、基礎疾患の有無で治療方針を考えます。発作性心房細動も、症状の程度、心不全など基礎疾患、脳塞栓を起こすリスクレベルなどで治療方針を考えます。

動悸と共に、気が遠くなったり失神してしまう場合には特に注意が必要で、稀ではありますが、心筋症などの基礎疾患があって重篤な頻脈性不整脈をおこしている場合、頻脈のあと洞停止あるいは徐脈をおこしている場合などがあります。

心臓以外の原因には、消化管出血などで貧血になっている時や、甲状腺機能亢進症があって頻脈が起きていることがあります。また、基本的にカテコラミンはストレスに反応して身体を防御するために分泌されますので、過度の緊張状態、適応障害の状況などでは、交感神経が亢進し、自律神経のアンバランスから安静時に動悸を感じることがあります。発作的に頻脈がはじまり動悸がおきて不安になり、嘔気・嘔吐する場合もあります。身近な人に心疾患の方がおり、心疾患に過敏になってしまい動悸を感じる場合もあります。このような場合、心臓関係の検査では異常がみつからず、自律神経失調症、パニック障害、心臓神経症などと診断する場合があります。症状改善には、生活にゆとりをもってリラックスする環境をつくり、良眠をとって副交感神経優位の状況をつくります。

循環器系の症状(1) 胸痛

2020年05月20日

循環器系の症状のうち「胸痛」についてご説明します。

胸痛には、「胸の中が焼けつくような痛み」「胸を締め付けられるような痛み(絞扼感)」「胸を強く押さえつけられる感じ」「胸に重い重石を乗せられた感じ」「一点を鋭く刺すような痛み」「狭い範囲にチクチク、ズキズキする痛み」等、様々な痛みがあります。痛みの特徴、痛みの範囲、起こり方、痛みの継続時間、動悸、息切れ、呼吸困難、発熱などの随伴症状などが原因を鑑別していく上で重要です。

狭心症の場合、冠動脈の動脈硬化、あるいは血管攣縮により心筋虚血がおこり胸痛を感じます。「焼けつくような」「しめつけられるような」「重いもので強く押さえつけられるような」胸痛で、胸の中心部の比較的広い範囲に痛みを感じ、15分以上痛みが継続します。左手や左顎に痛みが放散する場合もあります。典型的には例えば階段を上がるなど運動した際に狭心痛を感じます。運動により血圧、心拍数があがり心筋の酸素需要が増すにもかかわらず、動脈硬化による冠動脈の狭窄により血液の供給が需要に間に合わないため心筋虚血となり胸痛がおこると考えられています。

冠動脈の動脈硬化巣(プラーク)で出血がおこり、冠動脈内腔に血栓ができて冠動脈の閉塞がおこると、同様ですがより激しい胸痛がおこります。この場合30分以上胸痛が継続し、心筋梗塞が発症します。胸痛とともに心機能低下により息切れ、呼吸困難などを伴い患者さんは不安、冷汗を訴える場合があります。

このように、狭心症、心筋梗塞の胸痛は、一点を刺すチクチクした痛みではなく、比較的広い範囲の絞扼感、圧迫感です。一瞬の痛みではなく、15分あるいは30分以上続く痛みで不安感や冷汗を伴います。

激しい裂かれるような胸痛、背部痛が突然起きた場合には、大動脈解離を疑います。

心血管疾患以外の食道がん、逆流性食道炎でも灼けるような胸痛、背部痛を感じることがあり、鑑別疾患の際に注意が必要です。

一方で、一点を刺す痛み、チクチクする痛みが数秒あり繰り返すような場合には肋間神経痛や肋間筋肉痛など神経・筋骨格系の痛みが考えられます。肋骨下縁に圧痛、胸骨・肋骨関節部に圧痛などあります。

肋間神経に沿って、皮膚表面がピリピリ、ジクジク痛い場合には後日水疱があらわれ帯状疱疹のことがあります。

また、深呼吸によって痛みが増強する場合には、胸膜炎、肺炎を疑います。ウイルス・細菌感染により発症しますので通常発熱を伴います。まれですが、心膜炎も鑑別する必要があります。気胸では、ある日突然胸痛がありその後息切れ、呼吸困難がおこります。

胸痛、動悸、息切れなど心疾患で見られる症状があるにも関わらず、心臓関連の検査をしても異常がない場合があります。ストレス、過労、心疾患に対する不安から交感神経が緊張し、頻脈になり過敏状態のためさらに動悸を感じ不安感が増してしまいます。心臓神経症、自律神経失調症、パニック症候群などのことがあります。重症な心疾患ではありませんが本人は原因が分からない症状のためとてもつらく、丁寧な説明、こころのケアが必要です。