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新型コロナウイルスIgG抗体検査

2020年06月03日

一般にウイルスに感染するとまずIgM抗体が免疫細胞で産生され、その後約二週間でIgG抗体が産生されます。従ってIgG抗体を血中に保有する場合、過去にそのウイルスに感染したと考えられます。通常IgG抗体を保有すると、そのウイルスに免疫ができたと考えられ、再感染を防ぎ、感染しても重症化が回避されます。季節性インフルエンザなどのワクチンはこの免疫作用を利用しています。

新型コロナウイルスの抗体検査は種々ありますが、それらの精度・臨床的有用性について検討中です。

永福町 内科 すずかわ循環器内科では、CLIA法のIgG抗体検査を外注検査(健診・自費診療)にて実施しています。既感染の有無の確認をすることによって、それぞれの方の感染防止対策の検証の参考になります。

抗体陽性の場合には無症候な場合も含め既感染と考えられますが、検出された抗体の生理機能(中和抗体か?)、抗体の保有期間など臨床的意義については未確立です。

新型コロナウイルス感染症と肺炎球菌感染症

2020年05月26日

ご存じのように、東京都におきましても緊急事態宣言が解除されました。ウイルスが消滅したわけではありませんので、引き続き感染予防対策が求められています。第二波の可能性、準備も指摘されています。

さて、中国からの症例報告*をみますと、257例のCOVID-19感染患者で混合感染の有無を調べたところ 242例(94.2%)で細菌を中心に混合感染が確認され、そのなかで肺炎球菌が最も高頻度でした。

季節性インフルエンザでも同様の傾向がみられ、比較的最近のメタ解析論文では、高齢者において肺炎球菌ワクチンは、インフルエンザワクチンに併用した場合、肺炎、死亡抑制についてそれぞれ15%、19%の相加効果が報告されています。

新型コロナウイルスワクチンは開発中ですが、現状実施できることの一つとして、5年ごとの接種対象の方はこの時期に肺炎球菌ワクチン接種をおすすめします。

*Co-infection with respiratory pathogens among COVID-2019 cases Xiaojuan Zhua,1, Yiyue Gea,1, Tao Wua, Kangchen Zhaoa, Yin Chena, Bin Wua, Fengcai Zhua, Baoli Zhua,b,*, Lunbiao Cuia, Virus Research Volume 285, August 2020

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7213959/

杉並区 高齢者肺炎球菌予防接種

https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/yobouseshu/1004809.html

ご希望がありましたら、電話あるいはウエブ予約よりお申込みください。

https://suzukawa-clinic.jp/vaccination.html

心不全と新型コロナウイルス感染症

2020年04月23日

日本心不全学会のHPを参考に、心不全の患者さん向けに日常生活での注意点を以下にまとめました。

  • 椅子や机など、身の回りにあるものをうまく利用して、自宅での運動を心がけましょう。好きな音楽はしばしば有効です。
  • 心不全治療薬はもしもにそなえて十分な量を確保。余裕をもって次回分の処方をかかりつけ医にしていただく。
  • 利尿剤、β遮断薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬など現在の薬物治療と用量を守るように心がけましょう。
  • 薬の自己調節はしないでください。息切れがひどくなったなどの症状がある場合は、かかりつけ医/主治医に電話して相談しましょう。利尿剤などの薬の調整や、病院への受診の必要性については、電話での連絡だけで判断できることが多いです。
  • β遮断薬など心拍数を下げる薬は急に中止しないようにしましょう。抗炎症薬(NSAIDs)は避けるべきです。
  • 次のような症状がある場合は、入院して集中的な観察が必要な場合がありますので、医師の診察を受けてください:胸痛、不規則または速い心拍数、進行性の息切れ、激しい咳、めまい、失神。
  • 新型コロナウイルスの二次感染のリスクが高いため、季節性インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなどの予防接種を受けるようにしましょう。
  • 定期受診は、症状が落ち着いていればオンライン診療での対応を検討しましょう。
  • 新型コロナウイルス感染の疑いのある患者さんと直接接触した場合は、自主隔離し保健所の指示に従ってください。
  • 風邪やインフルエンザにかかったと思ったら、ウイルスの拡散を防ぐためにマスクを使用しましょう。

杉並区 永福町のすずかわ循環器内科では、オンライン診療、肺炎球菌ワクチン接種のご要望にお応えしています。

日本心不全学会HP:http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/20200417.html

心不全の発症予防

2020年04月22日

心疾患による死亡は癌に続き2番目ですが、その中で心不全による死亡が最も多いといわれています。

心不全は急性心不全の発症を繰り返し、徐々に身体機能の低下がおこりQOLの低下、要介護と進行し健康寿命に大きくかかわります。

従って、心筋梗塞、脳卒中と同様に、発症前の心不全リスクの評価・治療介入、急性心不全の発症予防・早期治療介入が肝要です。

心不全初期では、坂道、階段、荷物運びなど労作時の息切れや動悸、易疲労感を感じますが、安静時は無症状です。
重症化すると、横になって心臓へ戻る血液が増加すると息苦しくなり(夜間発作性呼吸困難、起坐呼吸)、安静時でも動悸、息苦しさを感じるようになります。
体の静脈うっ血により、食欲不振、便秘、下腿浮腫、体重増加などがおこります。
また、心拍出量低下による易疲労感、脱力感、腎血流低下による尿量減少、夜間頻尿・多尿、四肢冷感などが生じます。

高血圧、糖尿病などの心不全リスクのある方、左室肥大、心臓弁膜症、心筋梗塞などの既往のある方、上記症状早期にあるかたは心不全発症予防・急性増悪予防のため、かかりつけ医の受診をおすすめします。

杉並 永福町のすずかわ循環器内科は、(在宅)勤務後も受診できるよう平日夜9時まで診療しています。また、新型コロナウイルス感染リスクのため受診が中断している方などのためオンライン診療にも対応します。

フレイル予防、生活習慣病管理と健康寿命

2020年03月27日

フレイル・高齢期に予備能低下により健康障害をきたしやすい状態・健康と要介護の中間の状態を予防することは、脳心血管病を予防し健康寿命を延ばす要点の一つです。

フレイルには、ふらつき・転倒、食欲低下など身体的な側面と、記憶障害、抑うつなど精神的な側面があります。高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など生活習慣病の管理がフレイル予防にもつながります。

その際、食事、運動、薬物治療等の管理・治療目標は、患者さん個々人の包括的なリスク評価、年齢、生理機能などを鑑みそれぞれの患者さんにとって最適の目標を設定する必要があります。

例えば、糖尿病の食事療法につきましても、65歳以上では目標体重(BMI 22-25)、総カロリー摂取量に幅をもたせ、認知機能低下や転倒につながる低血糖を回避する妥当な血糖コントロール目標を設定することが治療ガイドラインでも勧められています。

特に高齢期では、一律な治療・管理目標ではなく、それぞれの患者さんに最適なオーダーメイド医療が肝要です。

肥満と脳心血管病予防

2020年03月19日

肥満は脳心血管病のリスクファクターの一つです。高血圧、脂質異常症の有病率が最も低いBMI=22に比較し、肥満判定基準の25になると内臓脂肪の過剰蓄積によりそれらの疾患の有病率が2倍になります。

体重減少は時に容易ではありませんが、肥満者(内臓脂肪過剰蓄積)では、2-4%の体重減少でも、糖尿病、高血圧、脂質異常症が改善することが知られています。
そのためまず3%の体重減少を目指し、生活習慣を改善することがすすめられます。

足の動脈硬化

2020年03月08日

閉塞性動脈硬化症は、足の動脈硬化によりおこります。典型的な症状はウォーキングをすると足に痛みや疲労を感じ、休むと回復します。症状があるのは50%以下といわれており、喫煙者、糖尿病、高齢者、透析患者、脳卒中、心筋梗塞既往者などハイリスクな方は定期的な検査がすすめられています。

簡便な検査としてABI(足関節上腕血圧比)がありますが、ABI値が1.00未満の場合は疑い例、0.90未満で閉塞性動脈硬化症と診断します。逆に1.4を超える場合には石灰化により硬化した動脈と考えられ冠動脈、頸動脈の評価が必要です。

症状のある方、ハイリスクな方はかかりつけ医に相談をおすすめします。

CAVI/ABI装置

動悸と心不全、脳梗塞

2020年03月05日

動悸の原因となる不整脈の一つに心房細動があります。心房細動の患者さんの95%以上が60歳以上であり、80歳以上の高齢者の有病率は10%といわれています。心房細動は心不全のリスクファクターであり、逆に心不全では心房細動を発症するリスクが上がります。。

心房細動では動悸などの症状がない場合もありますが、症状のある・なしにかかわらず脳梗塞を発症するリスクファクターと考えられています。心房細動では左心房に血栓ができやすく、心臓から血栓が脳血管に流れて塞栓を起こす場合、広範囲な脳梗塞を発症する場合があります。

心房細動には、発作的な心房細動を繰り返し起こす場合もありますが、発作性心房細動も持続性の心房細動同様に脳梗塞のリスクといわれています。

脳梗塞は要介護・寝たきりの主要原因であり、健康寿命を短縮します。

高齢化社会において心房細動の患者さんは増加すると予想され、早期診断・治療は健康寿命延伸のキーの一つです。

VPD 風しんへの対応

2020年03月04日

風しんはワクチンで予防できる病気(VPD)ですが、感染研疫学情報によりますと昨年も国内では2,306名の報告があり、先天性風疹症候群も4名の報告がありました。

先天性風疹症候群は、免疫のない女性が配偶者などから妊娠初期に風しんに罹患すると、胎児が風しんウイルスに感染して出生児が先天的に白内障、心疾患、難聴などを発症することを指します。

杉並区では、風しん抗体価測定、予防接種の助成をしています。妊娠をご希望される女性、同居者など対象者の方は抗体価検査をおすすめします。https://www.city.suginami.tokyo.jp/res/projects/default_project/_page/001/004/811/fusinannai310403.pdf

また、国の対策として、特に抗体保有率が低い昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性に抗体価検査、予防接種をしています。区が発行したクーポン券をお持ちの方は抗体価検査をおすすめします。https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/yobouseshu/1050478.html

当院の予防接種についてはこちらをご覧ください。

肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの併用効果

2020年03月02日

肺炎球菌ワクチンはインフルエンザに罹患した際に肺炎球菌性肺炎、侵襲性肺炎球菌感染症の併発を予防すると考えられています。

比較的最近のメタ解析論文*では、高齢者において肺炎球菌ワクチンは、インフルエンザワクチンに併用した場合、肺炎、死亡抑制についてそれぞれ15%、19%の相加効果が報告されています。

杉並区では高齢者 肺炎球菌定期ワクチンの公費助成をしています。
令和元年度対象の方は今月いっぱいが助成期間とまりますので、未接種の方は接種をおすすめします。

詳しくは杉並区ホームページをご覧ください。
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/yobouseshu/1004809.html

*Expert Rev Vaccines. 2018 Jul;17(7):653-663. doi: 10.1080/14760584.2018.1495077. Epub 2018 Jul 16.
Effectiveness and safety of dual influenza and pneumococcal vaccination versus separate administration or no vaccination in older adults: a meta-analysis.
Yin M1, Huang L1, Zhang Y1, Yu N2, Xu X1, Liang Y1, Ni J1.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29961353